自分の体に対しての抗体ができて発症する病気を自己免疫疾患といいます。重症筋無力症(MG)は神経内科の自己免疫疾患の一つです。

まぶたが下がってくる、物が二重に見える、ものが飲みこみにくい、表情がうまくつくれないなどの症状が現れます。病名に“重症”とありますが、軽症の場合もあります。

MGが疑われた場合には、ただちに神経内科専門医による確定診断が必要です。眼症状を欠く場合や不定愁訴に近い自覚症状、抗AChR(アセチルコリン受容体)抗体が陰性の場合は、MGを疑うことが困難なケースがあり、診断が遅れることもあります。

薬によってMGが悪化することがあるので、市販薬は慎重に服用してください。

免疫治療の進歩により、治療法は確立され、仕事や家事など日常生活が普通にできるまで回復します。予後も著しく改善し、MGによる直接の死亡率はほぼゼロになっています。寛解に至り、MGの治療が全く不要になることも少なくありません(この場合でも抗体は検出されることがあります)。一方、ステロイドなどの免疫治療を続けなければならない患者さんもいます。

医療機関を受診する場合は、MGの診断を受けていることを伝えてください。

MGと診断されたら、きちんと病気を理解し、あまり不安を抱かないことが大切です。また、症状を完全になくそうとすると、ステロイドや免疫抑制薬がなかなか減量できずに、逆に副作用が強く出てしまうことがあります。日常生活に多少の不便があっても、遂行できる程度を目標に、病気と上手に付き合っていくようにしましょう。

薬により、MGの症状がひどくなる可能性があります。自己判断で薬の量を変えたりしてはいけません。

MGの主治医以外の医師の診察を受ける際は、必ずMGであることを伝えてください。

風邪やインフルエンザの流行時期は、手洗い、マスクの着用を徹底し、感染防止に努めましょう。

普段の生活で気をつけてほしいこと
  • 疲れがたまらないように、十分な休息と睡眠を取るようにしましょう。終日勤務が必要な場合は、昼にしっかり休憩をとり、午後の仕事に備えるなどの工夫をしましょう。
  • 疲労の蓄積は避けましょう。