淋菌感染症の治療薬としては、多剤耐性菌の状況を考慮し経口薬は用いず注射薬で行う。保険適用のない部位への感染を含めてセフトリアキソン(ロセフィン)が推奨される。核酸増幅法により治療確認を行うことが望ましい。
著者のコメント:
いわゆるPID(骨盤内炎症性疾患)では原因菌が淋菌単独であることの確認は臨床上非常に困難である。実際、ほかの細菌との重複感染が多いことを考慮して初期治療にスペクチノマイシンは使用しない方がよい。
咽頭感染ではセフトリアキソンの効果が優れている。またスペクチノマイシンは効果が劣り使用しない。
以上のことから婦人科領域の淋菌感染症では子宮頸管炎と咽頭感染の合併もまれでない現状を踏まえると、すべての疾患でセフトリアキソンが現時点での第一選択薬である。
参考文献:
- 日本性感染症学会、2016ガイドライン委員会編:性感染症 診断・治療 ガイドライン2016, 日本性感染症学会誌, 2016;27(1), p53-61.