過活動膀胱が疑われる患者において、問題のある病歴や症状としては、肉眼的血尿、高度排尿困難、尿閉の既往、再発性尿路感染症、骨盤部の手術・放射線治療の既往、神経疾患の合併または後遺症、腹圧性尿失禁、骨盤臓器脱、膀胱痛、前立腺癌の疑い、超音波検査での異常(膀胱内に結石、腫瘍などの病変を疑わせる所見を認める)などがあり、このような患者は泌尿器科専門医へ紹介する。また、フレイル、認知症は治療選択にかかわることもあるため、これらによる尿失禁などが主体と思われる場合には、老年科、神経内科、整形外科、リハビリテーション科などへの紹介を考慮する。過活動膀胱は日常生活の支障となり、QOLを障害する疾患であるため、困窮度・QOL の評価も重要となる。
以上のような基本評価の後に、検尿で尿路感染の有無を確認する。膿尿がある場合は、まず尿路感染症として抗菌薬による治療を行う。血尿を認める場合は、泌尿器科専門医に紹介する。検尿で異常がない場合は、残尿量が少ないことを確認したうえで行動療法やβ3作動薬や抗コリン薬による初期治療を開始する。もともとの残尿量が多い場合や、初期治療の効果が不良な場合は、専門医に紹介する。